[志方あきこ] 廃墟と楽園
03.08.16 AURA-003

01 Come raggio di sol
02 ロマの娘
03 MARE
04 Se l'aura spira
05 ラヂヲ予報
06 廃墟と楽園
07 何処へ
08 Contrasto
09 イゥリプカ
10 古
11 MARE(Allegretto grazioso)

Compsed, Arranged, All songs paforms:志方あきこ
Lyric:志方あきこ(7) 田朋子(2.5.9.10) 田 + 志方(6)
作詞者不明~古イタリア詩より引用~(1.3.4) Cario Zangarini(8)

Producer:志方あきこ(VAGRANCY)
Recording+Mixing+Mastering engineer:志方あきこ
Accordion:藤野由佳(3.4.5)
Acoustic guitar:金谷ヒデユキ(10)
Drum,Percussion:工藤源大(2.3.5.7.9)
Violin:壺井彰久(2.8)
Acoustic guitar:ウタヌキ ヨシアキ(1.2.4.5.6.7.8)
Electric guitar:ウタヌキ ヨシアキ(5.6)
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01. Come raggio di sol

Come raggio disol mite e sereno
やわらかく澄み切った陽め光が

sovra placidi flutti si riposa
静かな波の上で身を休めている時でさえ

mentre del mare nel profondo seno
海の深い淵では

sta la temgesta ascosa:
嵐がじっと息を潜めている

cosí riso talor gaio e pacato
この様に 明るく 穏やかな微笑みが

di conteno, di gioia un labbro infiora,
唇を喜びで象(かたと)っていたとしても

mentre nel suo segreto iI cor piagato
その陰は傷付いた心が

s'angoscia e si martora.
悩み 苦しんでいるのだ


02. ロマの娘

シャンララと響く 鈴の音高く
ただ陽炎(かげろう)と踊るように揺れる民は
奏でる弦に 吹き呼ぶ笛に
ただ浪々(ろうろう)と流れゆく時と共に

灼熱(しゃくねつ)のバザールで子供達は いま
実り無き日々の中 夢を探す

渇きゆく土を蹴(け)り 果て無き旅路をゆく
強い風に抱かれながら
痩(や)せた胸で 自由を謳(うた)う

流れる雲は 茜(あかね)に染まり
いま目も眩む黄昏(たそがれ)の街道(みち)を抜けて
暮れゆく空に 満ちゆく月に
いま愛し子は駈(か)けてゆく 星と共に

家路へと帰りゆく人を眺(なか)めいま
旅人は懐かしむ過ぎし夢を

明日が消えてしまわぬように
ただ祈りなど 願いなど 唄にのせて
私は生きる 両手を広げ
その悪戯(いたずら)な運命に逆らいながら


03. MARE

Vieni, vieni, o mio diletto...
おいで 愛しい人よ…

Quando avvien che un Zeffiretto per diletto
bagni il piè nell'onde chiare,
きまぐれな西風が輝く波間に足を浸し

sì che l'acqua su l'arena scherzi a pena,
水が微(かす)かに砂浜と戯(たわむ)れる その瞬間を

noi diciamo che ride il mare.
私達は「海が笑う」と言う

Ben è ver: quando è giocondo ride il mondo,
そう 晴れやかな時に 世界は微笑み

ride il mare quando è gioioso;
そして楽しい時 海が笑う

ben è ver: ma non san poi, come voi,
fare un riso grazioso.
けれど そのいずれも
貴方ほどの優雅な笑みを
もたらすことは出来ない


04. Se l'aura spira

Se l'aura spira tutta vezzosa, la fresca rosa ridente sta,
その風が爽やかに吹けば 瑞々(みずみず)しく薔薇は咲き零(こぼ)れ

la siepe ombrosa di bei smeraidi d'setivi caldi timor non ha.
美しくエメラルドに繁(しげ)った生け垣は 夏の暑さを恐れない

A balli, a balli, liete venite, ninfe gradite, fior di beltà.
楽しい踊り 踊りて集え 美の花 麗(うるわ)しのニンファ達よ

Or, che sì chiaro il vago fonte dall'alto monte al mar sen'va.
美しき泉が山頂から湧き出し 海へと流れゆく今

Suoi dolci versi spiega l'augello, e l'arboscello fiorito sta.
鳥は優しく唄を織り奏で 若木は花を付けていく

Se l'aura spira tutta vezzosa, la fresca rosa ridente sta,
la siepe ombrosa di bei smeraldi d'estivi caldi timor non ha.

Un volto bello all'ombra accanto sol si dia vanto d'haver pietà.
木陰に寄りそう 俤(おもかげ)よ 誇りのままに その慈悲を与えよ

Al canto, al canto, ninfe ridenti, scacciate i venti di crudeltà!
歌に集え さざめき笑うニンファ達よ 無慈悲な風を追い払え


05. ラヂヲ予報

やわらかな 雲の白 遠くに揺れる

赤い自転車で はしる はしる
石畳(いしだたみ)を抜けて
古い線路跡 こえて こえて
町の外まで行こう

ふきぬける 空の青 優しくそよぐ

風見鶏(かざみどり)の顏 まわる まわる
三角屋根の横で
雨あがりの虹 こえて こえて
地図の外まで行こう

ラジオ越しの天気予報を
鞄(かばん)に詰め込んで
寂しがりの君の部屋まで
届けにいこう

日だまりの 黒い猫 野原をおよぐ

昼下がりのバス はしる はしる
細い道を抜けて
オレンヂの森を こえて こえて
丘の上まで行こう

心に住む 君の名前を
五線譜に描いて
蓄音機(ちくおんき)の音色にのって
届けにいこう

絵本のような 森の奥で
小さな世界が隠れてた
ブリキ缶の中には猫目石と
子供のふたりが眠ってる

いつか旅に出るまで
せつない夜知るまで

いつか ふたり日暮れの駅で
大人になる前に
手をつないで晴れた季節を
探しに行こうよ

階段の途中 君のシャツにぎって
飛行機雲を見ていた
寂しがりの“ふたり”遠回りをして
帰ろう


06. 廃墟と楽園

朽ち果てた回廊は 蔦(つた)の森に沈み
還(かえ)らぬ物語が 霧の中にひそむ

木霊(こだま)の囁(ささや)きに 目覚めゆく想い
宴の幻を 辿(たど)りながら
独りただ舞い踊る

水底の祭壇に
捧げる花の色は白く
滅びに眠る都 愛しむ様に
いま 咲きほこれ

凍てついた水晶は
白亞の壁を照らし
栄光の面影が 波の奧に灯る

遥か時を越えて 魂は巡り
懷かしき故郷へ
追憶の欠片(かけら)抱いて 集う

水底の祭壇に
祈りをよせる腕は細く
王国の亡骸(なきがら)に
届かぬ指先は 儚(はかな)い

月影浴びて 揺れる 水鏡に
そっと浸した
裸足の脚(あし)は幽(かす)かに震え

夜の世界は蒼く 全てを染めて
長い髮のたゆとう汀(みぎわ)を
靜かに包み込む

精霊達が永遠にまどろむ国へ
溶け合うように
水脈深く交じり合い

いにしえの庭園へと
幾(いく)たび手を伸ばし求める
今導いて 私を呼ぶあの場所へ

水底の祭壇に
祈りをよせる腕は細く
王国の亡骸に 届かぬ指先は
冷たく 遠い祭壇に
捧げる花の色は白く
滅びに眠る都 愛しむ様に
いま 咲きほこれ


07. 何処へ

帰る場所 忘れた鳥
もう姿も思い出せない私は…

独り佇(たたず)む 茜(あかね)の丘
君の殘した足跡だけが疼(うず)いてる
想いの鎖さえも
繋(つな)ぎ留める事が出來ないぬくもりは

何処へ消えるの?

色褪(あ)せた約束 さらう風は
悼(いた)みに赤く霞(かす)む あの空へ行くのに

耳鳴りに搖らぐ記憶
いま 面影眠る 群青色(ぐんじょういろ)の草原で
淡く光る花達が守る
細く賴りなく 息づくその道は

何処へ続くの?

喪(な)くしたぬくもりを取り戻すため
君を探し疲れた足も 君を待ち痛む胸も
囁(ささや)くように歌うように 君を求めるよ

何時か会えるの?


08. Contrasto

Piange lenta la luna sue rugiade gemmanti:
月はゆるやかに きらめく涙を零(こぼ)してゆく

or lieto all'aria bruna sia l'oblio de il amanti,
暗闇に息付く 恋人達の忘却の世界は
喜びに満ちあふれている

però che dolce è il riso tra il pianto de le cose.
なぜなら 全ての涙の間で
甘美なその微笑みは慰(かぐさ)めとなるからだ

Ben la luna compose a la mestizia il viso.
今まさに 月は哀しげな表情で佇(たたず)んでいる

O amica, a quando a quando giova l'oblio:
ああ愛しき人よ
ときに忘却というものは助けになる

scordare l'altrui doglianze amare,
intorno andar cantando,
それは 人の持つ耐え難き苦しみを忘れ
歓喜に唄い巡るという事(かた)なのだ

mentre piange la luna.
月が泣いている この時に…


09. イゥリプカ

豊穣の女神の娘、 イゥリプカ。
娘は不思議なカを持っていた。
祈れば実りを、 舞えば雨を、 謳えば太陽を、
意のままに操ることの出来得るカであった。
しかし娘は、 皇城付きの易者の予言により
益と災いを同時にもたらす者として
山奥の伽藍へと幽閉され、 その日々を送っていた。
陽の光を、 草の吹息を見ることの能わぬ、
籠の鳥のような暮らしではあったが
それは、物心の付く遙か前からの娘の常であったので
さして不満を覚えるこzなく、 日々祈り、 舞い、 謳っていた。
娘の舞いにより、 国は飢えることなく栄えてゆき
平隠で凡庸な日々が恒久に続くかと思われたある日の事、
娘は伽藍を訪れた旅の僧に恋をた。
僧は、 翠葉薫るが如き若僧であった。
かし若者は、 僧であるがゆえ、 そして旅の途中であるがため、
通り行く薫風のように娘の元から去り、 山を下りた。
娘は、生を受けて初めて心を乱し、 僧を思い、 焦がれでは嘆いた。

そして

その涙は河川を乱し、 あふるる濁流となり、
その憂いは陽を通さぬ厚き雲となり、
呟く言霊は蝗の群となり、 一つの国と五の村を滅ぼした。
更にその濁流は、 去りゆく若僧をも水塵へと変えた。
国を滅ぽし、 焦がれた者をも滅ぼしたと知った娘は
哀しみのあまり自らも濁流へとその身を投げた。

天候が、 収穫が万事、
非常に不確かなもになったのはこの時からである。


10.

厳(おごそ)かな大地よ 古(いにしえ)の楽土よ
繁(しげ)りあう樹木を 太陽は照らす

混沌(こんとん)の大地よ 絶え間なき野生を
限りなき世界で 獣たちは舞う

ひそやかな泉よ 清らかな水面(みなも)よ
密林の深くで 闇夜が騒ぐ

地平には赤き山が咆(ほ)えたけり
満天の星を焦がす命の篝火(かがりび)

絶える事なき 鮮やかなその生命
奪い合い与えながら 強く 栄え 輝け

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